分蜂群の捕獲の方法として大きく分けて二つの方法があります。
上記の方法がありますが、JBeeFarmとしては蜂球の捕獲はおすすめしておりません。
なぜなら、捕獲作業に手間が掛かるし、捕獲したとしてもその後にミツバチが定着し難いからです。
ミツバチが定着し難い理由として以下の点が考えられます。
理由1)分蜂したばかりの蜂球を強制的に捕獲し、巣箱に押し込めたまますぐ近くに置いておくと、かなりの頻度でその場では巣を作らずにその後、巣箱から飛び出していくことがあります。なぜなら、分蜂したばかりの群は越冬した元の群からできるだけ離れようとするからです。ミツバチにとっては強制的に捕獲された巣箱の中も一時的な滞在場所でしかありません。
理由2)強制捕獲した群をすぐに飛び出した元の群から遠くに移動させたとしても、その後、新女王蜂が卵を産まず新しい働き蜂が増えずに1,2ヶ月ほどで群が消滅してしまうことがあります。なぜなら、ミツバチ達は強制的に移動させられた新しいエリア情報を持っていません(ミツバチは周辺の地図を憶えている)。そのため、その新エリアで交尾の為に新女王蜂と雄蜂が集まる場所がわからないまま、新女王蜂が交尾出来ないという状況に陥ります。つまりは新女王蜂は雄の精子を保有しないまま卵が産めずに働き蜂が増えずに巣が消滅してしますのです。
このような理由から分蜂した群を強制捕獲した群はかなりの 高い頻度で消滅または逃避してしまいます。
私の過去の実績では強制捕獲した群の約50%しか群を維持できませんでした。
もし、大変な思いをして分蜂群を捕獲しても定着しずらいとなると、ミツバチにストレスも与える事も加わり、あまり効率的ではありません。ミツバチ達がいなくなった後にはなんとも空しい悲壮感だけが漂いますので、JBeeFarmではほとんどのケースで蜂球の捕獲は行っていません。管理している越冬群が分蜂して、すぐ近くの木に蜂球を作ったとしても彼らの次の住処が見つかるまで、そのまま放っておきます。その時にはその群はどこかに行ってしまいますが、翌年、再来年にその子孫が我々の元に戻ってきてくれるかもしれません。一度、自然に戻って修行して戻ってくると思えば何も惜しくありませんし、そもそも、ニホンミツバチは人間の所有物ではありません。一時的に巣箱に入居してもらうという感覚で付き合えば入居しても、どこかに行ってしまってもあまり気になりません。いてもいなくても普通というのが本当の野生の生きものであるニホンミツバチとの適度な付き合い方ではないでしょうか。
しかしながら、時によっては蜂球となったミツバチを捕獲しなければならない時があります。例えば、ご近所さんの庭先に蜂球が出来てしまった際にそのまま放置しておけばミツバチはどこかに行ってしまいますが、一刻も早く撤去してくれとお願いされた場合はご近所付き合いもありますので、捕獲してしまった方が良い場合があります。捕獲することによってご近所さんからの信頼を勝ち得、さらに安心感を与えることができます(ご近所さんにミツバチの事をもっと理解してもらい、ミツバチが去って行くのを見守ってもらうことが一番ですが)。
蜂球の捕獲について、手順を以下に述べます。
1−1)ミツバチを捕獲する巣箱を準備する(通常の巣箱3段と最下段は捕獲用の箱)
1−2)巣箱を蜂球の近くに配置する
1−3)刷毛を使って、バケツの中に蜂球を落とし込む
1−4)内蓋と巣箱の蓋をそーっと蜂を潰さないように閉める
1−5)巣箱内の女王蜂が上に上がるのを待ち、外にいる働き蜂が巣箱内に入ろうとしているのを確認する(10分〜15分くらい)
1−6)最下段の巣箱に隙間を作り、外の働き蜂が出入りできる状態にする
1−7)雨風が凌げるように屋根板を設置して暫く放置する
とりあえずミツバチがこの巣箱を気に入れば、女王蜂が交尾の旅に出た際に雄蜂の精子をお腹の中に蓄えて帰って来るので、ミツバチ達が本格的に巣を作り始める。一週間ほどそのまま待つ。
ミツバチが順調に営巣(足に花粉を付けている状態)している事を確認したら最下段の巣箱の隙間を閉じて、巣箱を移動させる。
隙間を閉じるのはミツバチが巣に戻ってくる夜間またはミツバチが動き出す早朝にする。夜間は暗くなってもまだ戻ってきていないミツバチがいるため、隙間を閉じるのは早朝の方が絶対におすすめ。夜間の移動作業は足下が悪い場合は非常に危険である。車での移動の場合、巣箱をロープ固定して、できるだけ早朝もしくは夜間に移動させる。移動後にミツバチは数時間〜半日程度巣箱周辺を飛び回るが、次第に落ち着きを取り戻す。
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