近年の夏場の暑さは非常に厳しいものがあります。今年(2014年)も各地で36℃以上の気温となりました。人間にとっても地獄のような気温ですが、ミツバチにとっても大変厳しい状況となっています。
ニホンミツバチの巣箱は重箱式の巣箱で管理している人が多いと思いますが、重箱式巣箱にとっては夏の暑さは一番の課題です。実際に「巣が柔らかくなって、蜂の巣が落ちた」、「ミツバチが逃避した」などの報告が7月中旬から8月中旬に掛けて上がってきます。恥ずかしながら、私も毎年、この時期は巣が落ちる被害に会っているのですが、一部分の巣が落ちるだけで、巣が全部落ちて群の全滅とまでは行ってません(かつては全滅という被害が一度だけありました)。
只でさえ暑い夏なのに、ここ数年は夏場の気温が上がりまくってます。そして、おそらくこの状況はますますひどくなっていくのではないかと思えますので、ニホンミツバチを管理される方は夏場の対策はしっかりと行う必要があります。
夏場対策の必要性があると伝えても、なかなか1年目の人はその被害の状況を想像し辛く、つい夏場の対策を怠ってしまうようです。実際に自分が管理しているニホンミツバチが巣落ちして女王蜂が押しつぶされて死ぬとか、女王蜂がいても逃避してしまうとか大きな被害を目の当たりにした時点でその重要さに気が付くのですが、それはある意味致し方ありません。何事も失敗と経験が必要です。しかしながら、できれば、そのような辛い経験はして欲しくないということで、巣落ちの原因とその対策を以下でお話したと思います。
ミツバチの巣はミツバチが体から出すミツロウで構成されています。ミツロウは動物性の油(ワックス)であり、常温では固形ですが、温度が上がると柔らかくなります(ミツロウの融点[個体から液体に変わる温度]は60~67℃)。ミツバチは巣の中に花蜜を持ち込んで、巣板に花蜜を貯蔵するので巣板自体の重さが結構な量となります(手に持ってもズシンとくる重さ)。重箱式巣箱の構造状、花蜜が詰まった巣板は巣箱内の天井、巣箱内の側面側および、巣箱内の串に固定されています。しかし、夏の暑さでミツロウが柔らかくなると、その重さに耐えられずに巣が落ちてしまうのです。
また、1年を通して気温が高くない時期(春、秋、冬)にはミツバチ達は巣箱の中で一カ所に集まり、下から重い巣板を支えています。しかし、夏になると気温が上がるため、ミツバチ達は各自の暑さ対策としてソーシャルディスタンス体勢をとります。そして、ミツバチ同士の間隔が広がるとともに、巣板を下から支える行為をサボるミツバチ達が増えるので、最後は重い巣板を支えることが出来ずに、巣が落ちてします事があるようです。
夏場はスムシの活動が活発化します。逆にミツバチの活動量は低下します。巣箱の一部分に直射日光が当たる状態が長時間続くと、そこ周辺にミツバチはいなくなります。一方、スムシはその箇所周辺に集まり巣を食い尽くすのです。巣箱内の状況は外からは見えないので、気づいた時は巣が落ちた後ということになります。
巣落ちの原因はいろいろありますが、その主な要因は巣箱内が暑くなる状態が長時間続くということなので、その対策として巣箱に日除けを行います。日除けの程度は理想は100%斜光してあげることです。極端な話、巣箱の入口だけ開放して、巣箱周辺は真っ暗でも良いのです。例えば、斜光シートを設置する、巣箱の周りに断熱材やスノコ、簾(すだれ)を設置する、または、巣箱設置の時点で木陰のある環境を選ぶことが重要です。直射日光が巣箱(特に天井付近)に当たらないないようにします。一つの対策でも巣落ちの心配はかなり無くなると思いますが、全ての条件が揃うとミツバチの活動が活発化し、秋のスズメバチ襲撃のシーズンに準備万端で備えられます。
一方、巣箱内に籠もった空気をミツバチが容易に換気できるように、巣箱周辺は風通しの良い状態を作ってあげてください。夏場の草刈りはこまめに行ってください。九州地方は草の生え方がかなり早いようです、2週間に一回は巣箱周辺の草刈りを行いましょう。
巣箱内には巣落ち防止のために串が入っています。巣箱作りワークショップでは巣箱1段あたりに2本十時に設置セットするようになっていますが、4本#型にセットすることで、巣落ち防止のさらなる効果が期待できます。JBeeFarmでは4本#型では巣内がごちゃごちゃするので日陰対策を実施することで、2本十時で十分と判断しています。。
おすすめ遮光シートはこちらでご購入できます。
ミツバチにとって良い環境とは人間と同じです。この暑さの中、人間が炎天下の中で長時間さらされた苦しいですよね。クーラーの中で過ごしたいと思いませんか?ミツバチをクーラーの中で管理するわけには行かないので、せめて、巣箱周辺に木陰を作ってあげたり、風通しを良くするように心掛けましょう。
入居して1年目の群の巣板は非常に柔らかいので巣落ちし易い条件となっています。十分に暑さ対策を行うのは当然ですが、秋になるまで絶対に天井側の蓋を外してはいけません。巣板と巣箱の固定は殆ど天井側の蓋との接触面で効いています。涼しくなるまで、いじるのは危険です。採蜜するなら、涼しくなる10月以降に実施します。
入居後2年目以降の群の巣板は半年以上経過した古くて固い状態ものが残っており、1年目のものに比べて巣落ちし難くなっています。よって、夏場でも採蜜は可能ですが、取り過ぎると巣落ちしますので、注意が必要です。