イノシシによる巣箱被害と対策方法

巣箱を設置する場合においての心配事の一つとして、害獣による被害があります。ミツバチにとっての脅威となる動物といえば、クマ、イノシシ、アライグマやテンなどの野生の小動物などがいますが、九州には幸いにもクマは生息しておらず、クマの被害はありません(九州以外では被害はあります)。穴グマやテンの被害も巣箱の中に侵入されなければ特に大きな被害もありません。イノシシによる被害もめったに聞かないのですが、時々、巣箱を倒壊させられることがありますので、その対策についてお伝えしたいと思います。

野生動物の食べ物に対する執着を知る

まず、なぜイノシシが巣箱を狙うのかという点に着目します。イノシシはある場所に食べ物があると認知してしまうと、何度でもその場所に執着して物色してきます。それはイノシシに限った事ではなく、野生の生き物達は食べ物に対する執着はすさまじいのです(人間やペットのように飽食な状態ではない)。イノシシは蜂の巣を壊して食べますが、ハチミツが美味しいのか、蜂の子が美味しいのか、それとも蜂の巣自体が好きなのかはわかりません。とにかく全部食べてしまいます(巣箱は食べません)。イノシシは巨体な上にすさまじい力を持っているので、イノシシ侵入対策として多少の障害物があったとしても、簡単に破壊してしまいます。人間が巣箱をロープで強固に固定しようとも、物理的にイノシシが巣箱に近づける限りは何をしても効果はありません。

イノシシに認知させてはならない

では、イノシシが認知するとはどういうことなのでしょうか?一般的にイノシシは蜂の巣を餌と思っていません。おそらく野生のニホンミツバチはイノシシと接触しないような場所(高所や木の中の空洞など)に巣をつくるので、普段からイノシシが蜂の巣を食べることがないのだと思います。そのため、イノシシも蜂の巣を餌と認知していないようです。なので、普通はミツバチの巣箱が目の前にあったとしてもそれを破壊して中の蜂の巣を食べることはないのです。

しかし、人間が全滅したあとの巣を外に捨て置いたりすると、イノシシはいつも餌を探していいますから、それらを物色して幼虫(蜂の子)でも残っていたら喜んで食べることは間違いありません。そのイノシシ個体は蜂の巣の味や匂いを憶えて、蜂の巣を餌だと認知してしまい、ミツバチが営巣している巣箱を見つけるとそれを破壊して中にある蜂の巣を食べるという行動を死ぬ(忘れる)までとり続けます。その状況に歯止めを掛けるにはそのイノシシを捕獲するか、巣箱に接触できないように巣箱の周りに囲いを作るなど、物理的な対策(あとで記述)をとる必要があります。しかし、金銭的な負担や手間が掛かるので、できたらそれは避けるべきです。何度も言いますが、やはりイノシシに「巣箱の中に食べられるものがある」と認知させないことであり、普段から餌となる蜂の巣を巣箱周辺に放置しないことを心掛けましょう。

イノシシには力で対抗しない

近年の猛暑で山の環境は大きく様変わりしているようです。どんぐりやクリの秋の収穫シーズン前には山には餌がありません。なので、イノシシや他の生き物も必死です。今年(2025年)の夏には私の畑もイノシシやアナグマに大きな被害を受けましたが、ミツバチの巣箱は大丈夫でした。彼らの動きを日々見ていると、その切実さが良くわかります。飢えた野生動物は恐怖を恐れずに何でもアタックしてきますので、人間としてもしっかり対策をする必要がありますが、力で対抗するよりも頭で対抗するしか無さそうです。今後も自然環境は厳しくなると予想されますので、しっかりと巣箱を管理して(周辺に巣のカスなどゴミを捨てない)野生動物の被害を起こさないようにする必要がありそうです。