JBeeFarmではこれからニホンミツバチ養蜂を始めるみなさんに手抜き養蜂を推奨しています。

手抜き養蜂とは?

手抜き養蜂とは言葉通り、「養蜂で手を抜くこと」です。ニホンミツバチは野生のミツバチです。彼らは数万年に渡って日本の自然環境に適応して生き残ってきました。人間は巣箱にミツバチを呼び込んで、住居を提供する代わりに家賃として彼らが自分達の為に作ったハチミツの一部を分けてもらうのですから、彼らにとって住みやすい住環境を作ってあげるだけで十分に彼らは生き残って行けるのです。つまり、人間が下手に色々と手を加える必要はなく、要点を掴み、必要最低限な事をするだけで楽にニホンミツバチと長く付き合っていこうという考えです。それが手抜き養蜂なのです。

巷には様々な情報が溢れています。その情報の海の飲まれて、ミツバチに砂糖水を上げたり、抗生物質を与えたり、薬剤を与えたりされている方がいますが、本当にそのようなことをやる必要があるのでしょうか?ニホンミツバチは野生のミツバチです。日本での環境の変化には十分に適応できるのですから、本来は何もする必要はないはずです。しかしながら、せっかく巣箱に住み着いたミツバチが逃避したとか、消滅したとか、スズメバチに襲撃されたとかという現象は発生します。その度に薬を投与したり、スズメバチを殺したりするのって大変な労力が掛かりますし、金銭的負担も掛かってしまいます。

手抜き養蜂では、基本的にはミツバチに対しては直接何もしません。餌も与えないし、薬も投与しません。抗生物質も与えないし、不必要にも近づかないようにしています。では何をするのかというと、ミツバチに直接的に関わるのではなく、間接的に関わるようにしています。別の言い方をすると、先に述べたようにミツバチが住みやすい環境を整えるだけです。

例えば、巣箱を湿気の多い所に置かずに風通しの良い場所に置く。巣箱を日当たりの強い所に置かない。どうしても日当たりが強い場所に置く場合は、人工的に日除けを付ける(補足1)。冬場は北風が当たらないような場所に置く。巣箱周辺のミツバチの通り道を確保し、蜘蛛の巣などが張っていたら撤去する。ミツバチの数に応じて、巣箱内の空間を適度に調整する(補足2)。これらは私が口を酸っぱくして皆さんにお伝えしていることです。

ミツバチの住環境を整える事はミツバチが弱らない環境を作るということです。ミツバチが弱ると免疫力が下がり、病気にもなるし、弱ったところでスズメバチなどの外敵にも襲われやすくなります。また、ミツバチとスムシ(蛾の幼虫)は普段は共存しています。ミツバチが元気だとスムシは巣の中で大人しくしていますが、夏の暑さなどで巣箱内が高温になるとミツバチの活動が落ちる一方、暑さに強いスムシが勢いを増し、大繁殖して巣が食い荒らされるとミツバチも巣を出ていくしかなくなるのです。8月頃にミツバチが巣から逃げ出すのは暑さによってスムシの勢いが増し、ミツバチが逃げ出したと考えられます。このような理由で、夏場にミツバチが弱らないように巣箱にはしっかりとした日除け対策を行うのです。逆に夏場はそれだけで十分とも言えるのです。

手抜き養蜂を実施するには、なぜこうするのか、なぜこうしないのかという根拠を持って実施することが重要になります。最初は推測の域からのスタートですが、ミツバチを観察し、失敗を繰り返しながら自分なりの根拠を積み上げて行く事で、楽な養蜂に近づいていくのです。つまりそれが、手抜き養蜂となります。巷の情報を鵜呑みにして当てずっぽうに全部やってしまうと、結局何をやっているのかわからなくなりますし、最後はやる事が苦痛になってつまらないものになってしまいます。手抜き養蜂を目指す事で、人間にとってもミツバチにとっても効率も上がりますし、ミツバチとの適度な距離感を保ちながら無理せずに長く関わる事ができるので、絶対におすすめなんです。

皆さんも手抜き養蜂にチャレンジしてみてください。


補足1)夏場の湿気対策を実施することでミツバチの巣内での仕事量を減らす効果もあります。巣内ではミツバチが花蜜に含まれる水分を飛ばすために翅を使って巣内空気を循環させる仕事をしています。特に夏場には巣内は高温多湿の条件となっており、巣箱周辺の湿度が高いとミツバチが頑張って巣内の空気を排出しても巣内の湿度はなかなか下がりません。逆に周辺の湿度が低いと、巣内の湿度も下がりやすいので、早く花蜜の水分が飛び効率良くハチミツが作られます。結果としてミツバチの巣内での仕事量が減り、多くのミツバチが外にハチミツを採りにいけるので、ハチミツの生産量が増えます。また、温度に関しても、巣内の温度が高くなりすぎると、巣内の温度を下げるためにミツバチが空気循環を行うためにミツバチの仕事量が増えますので、作業効率が悪くなり、結果としてハチミツの生産量も減ってしまいます。

補足2)ミツバチの数に対して、巣箱内の空間が広すぎると巣箱内の空気が排出され難くなり、また余った空間に蜘蛛などの侵入者も入りやすくなってしまいますので、巣箱内の空間はミツバチの数に応じて広すぎず、狭すぎずで適度なサイズになるように調整します。