ミツバチ群の消滅と減少について

ニホンミツバチの群の消滅はよくあること

ニホンミツバチ養蜂をやっていると頻繁に群が消滅します。春に入居した群が1群でも消滅しなかった年なんて10年近くニホンミツバチ養蜂をやってますが経験ありません。 しかし、自分の管理している群が消滅すると、ペットが死んでしまったかのように大変がっかりしてしまう人が多いです。気持ちは大変わかります。昔の私もそうでした。

しかし、良く考えてみてください。春には越冬した群から複数の女王蜂と働きバチが分蜂します。多いケースでは7,8回分蜂したという話も聞いたことがあります。自然界の実情は正確には把握できませんが、1群から少なくとも3,4回は分蜂しているような印象を受けています。

もしこれらのミツバチたちが全群越冬して生き残ったとしたら、そしてこれらの群が毎年のように分蜂して増えていくとしたら、この世界はミツバチだらけになってしまいます。現状、そうなっていませんよね。もしミツバチの数が長い年月の期間中に特に変わってないとすれば、毎年分蜂した結果増えてしまった分だけ群が消滅していると言えるのではないでしょうか?つまり、 ミツバチの世界では時代を越えての遺伝子の循環が行われていると言えると思います。その循環の中で地球環境の変化に対応できるミツバチと、適応できないミツバチたちが生まれてきては、 適用できるものだけが生き残ってきたのです。だから目の前のミツバチの群れが消滅してしまう事はある意味健全であり、悲しいことでは無いのです。

ミツバチの消滅はなぜ起こるのか?

このようにミツバチの消滅はよくあることですが、養蜂家としてはなぜ消滅が起きたのかと言うことを考える意味はあると思っています。ミツバチの消滅が起きる原因としてはいくつか考えられます。1つ目は女王蜂が寿命を迎え、卵を生まなくなり、働き蜂が次第に減っていき自然消滅するということです。 2つ目は何らかの外的要因によって女王蜂が卵を産めなくなり、働き蜂が消滅して、群の消滅に至ります。 また、働き蜂や幼虫が直接被害を受けて死んでいくこともあるでしょう。その要因としては、農薬散布による群全体へのダメージ、越冬時の蜜源不足による消滅、ストレス過多による女王蜂の機能障害などなど、いろいろ出てきますね。

では、一つ一つ整理してみたいと思います。

1つ目に関しては女王蜂の寿命なので、これは避けられないことだと思います。 たまたま、あなたの管理している群の女王蜂が寿命を迎えたと言うことです。

2つ目の外的要因に関しては、 原因がわかればそれなりの対応策ができると思います。農薬散布が原因であれば農薬が撒かれない場所に巣箱を設置する、農薬を撒かないように周囲にお願いする。もし蜜源不足であれば、蜜源がある所に巣箱を設置する、蜜源を作る。ミツバチにとってストレスがない環境を考えるなど。

蜂が消滅した後の巣の状態を観察する

しかし、女王蜂の寿命なのか、外的要因なのか、その原因についてどのように判断すれば良いのでしょうか?私としては消滅した群の状態を観察することだと思います。例えば、消滅した群の中に、たっぷり蜂蜜が残っていれば、それは女王蜂が寿命を迎えて自然消滅したからだと考えられます。しかし、巣の中のハチミツが空っぽでミツバチが一匹も居なくなっており、さらに卵だけが巣の中に残されているとすれば、それは何らかのストレスが原因で群全体で一度に逃避してしまった可能性が高いです。また、周囲に蜂の成虫や幼虫の死骸がたくさんあれば、農薬散布によって、ミツバチが急死した可能性が考えれます。つまり、蜂が居なくなったあとの状況を観察して、その原因を追及推測するしかありません。その原因は多種多様に渡ると思われます。

消滅した蜂の巣を観察してみると、いろいろと見えてくるのよ

越冬時のミツバチの減少は当たり前、見守るしかない

冬場にミツバチの数が減ったからと心配される方多いのですが、冬場に数が減るのは当然です。冬場には女王蜂は卵を生まなくなりますし、働きミツバチ自体の活動も停止して、巣の中に閉じこもっている時間が長いので、群に多くのミツバチは必要としません。さらに冬場に働きミツバチがたくさんいると、巣内の蜂蜜の消費が無駄に増えてしまうので、必要以上に働き蜂を増やさない ようにその数をコントロールしているのだと思います。そうなると越冬時の蜂の減少は問題ではなくて、逆に群としては非常に合理的な戦略なのです。重要なのは女王蜂とある程度の数の働き蜂が、無事に春を迎えることなのです。

越冬時には蜂の数が減って、どうしても蜂の巣を下から見るとむき出しになってしまいます。確かにそれでかなり蜂が減っているように思えて心配してしまうのですが、ミツバチと女王蜂がとりあえず健在であれば、3月に暖かくなると花も咲き一気にミツバチの活動が再会されてミツバチの数が増えますので、養蜂家の皆さんはあまり心配せずにミツバチさん達を見守ってあげればいいと思います。

春が来るまであと1ヵ月楽しみに待ちましょう。

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